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2006/12
成宮会長再任挨拶

京都大学医学部・医学研究科の目指すもの

医学研究科長・医学部長
成宮 周


 私、はからずも、7月の教授会で、研究科長に再任され、今暫く、医学部長・医学研究科長をつとめることになりました。これにより、芝蘭会会長も引き続き兼ねることになりますので、ここに、一言ご挨拶申し上げます。2年前、一期目の就任にあたり、国立大学の法人化、新研修制度、医学部保健学科の発足を挙げ、現在が大きな改革の時であると申し上げました。以後、2年たち、京都大学全体としても、法人化に対する対応が整い、法人化を生かした独自の施策が開始されるに至っています。また、心配された、附属病院の経営問題も、これまでのところ赤字に陥ることなく推移しています。しかし、国から、国立大学の交付される運営交付金は、毎年、1%の削減が引き続いており、附属病院にはこれに毎年、4.5億円の効率化係数による運営費の削減が加わっており、診療報酬の改訂と相俟って、予断を許さない状況が続いています。一方、新研修制度は、医師の大学離れや地域偏在など深刻な問題を惹き起こしておりますが、幸い京大病院では、初期研修と本年度から始まった後期研修でも定員を十分確保しています。また、これとリンクしていると思われる医学系の大学院も、多くの大学で定員割れをおこし、基礎系の研究が殆ど出来ないなどの事態をおこしていますが、京都大学医学研究科は、博士課程723名、医科学修士課程36名、社会健康医学系専門職学位課程55名、計814名を擁し、来年度からは保健学科に大学院修士課程が設置されるなど、活発な状況です。このように、京都大学医学部・医学研究科の現状は、一見世間でいわれていることとは無縁で、ごく順調のように見えますが、研修医のなかでの本学出身者の割合や臨床各分野での専門医制度と大学院の両立の困難さが増してきていることなどを考えますと、決して楽観を許さない状況だと見ています。このような状況下で、京都大学医学部がこれまでの学術研究の水準と人材の豊富さを保ち、より発展させるためには、若いひとたちを引きつける求心力をもつことが大事であり、この求心力は京都大学医学部が名実ともに世界最高水準の医学と医療技術をもつ国際的なセンターになることにより達成されると考えます。
 この目的の達成のためには、医学部・医学研究科をより充実させることが大事ですが、上記の運営交付金の毎年の削減下では、これは容易なことではありません。ご存知のように、京都大学医学部及び附属病院の定員は、戦後間もない時の対応のまずさで、東京大学、大阪大学に比べ、著しく少なくなっております。これは国により是正してもらうのが本筋ですが、現在の状況ではそれは望めそうにありません。私どもは、この不利を克服するために、公的、民間を問わず、積極的な外部資金の導入を計り、これを原資に人員を雇用するという制度を確立してきました。これまでに国から導入した外部資金による取り組みには、先端領域融合医学研究機構、「病態解明」と「再生医療」をテーマにした2つのCOEプログラム、ナノメディシン融合教育ユニット、知的財産経営学コース、遺伝カウンセラー・コーデジネーターユニットなどがあります。また、本年からは、国と企業の一対一支援によるプロジェクトである高次生体イメージング先端テクノハブ(キャノン株式会社との協同事業)と次世代免疫制御を目指す創薬医学研究拠点(アステラス製薬株式会社との協同事業)が走り始めました。いずれもtop scienceの上にtop technologyとtop drug developmentを行なおうという試みです。更に、民間から導入した資金による取り組みで大きなものとしてEBM共同研究センターがあります。これは、高血圧治療のなかでアンギオテンシン受容体拮抗薬とカルシウムチャネルブロッカーを比較するCASE-Jという市販後試験を行なったところです。CASE-Jの結果は、今後の高血圧治療に大きな指針をもたらすと聞いております。その他、大小様々な取り組みが行なわれており、これらのプログラムによって、十月一日現在で、医学部、医学研究科で雇用されている特任教員は、141 名に上ります。さらに、附属病院では、民間資金を導入して、京大病院がんセンターを立ち上げる予定です。ここで述べたように、現在の医学部・医学研究科は、基礎医学と同時に臨床医学の発展にも大きな力を注いでおります。今後は、この努力を、欧米でトップの医療センターなどと繋ぎ、世界中の医療の進展がon timeで出入りできるシステムを立ち上げたいと願っています。また、保健学科の大学院の開始により、医学研究科での研究が、看護やケアの分野にまで拡がることになりますが、ここで私が期待していることの一つが、医工学の発展です。保健学科には、理学療法学専攻や検査技術科学専攻などがありますが、喪失した身体機能を回復させる生物学的アプローチに加えて、それを工学的に代償できることが視野に入ってきています。また、上述のキャノンとの協同プロジェクトが目指しているように、診断手法の革新が医療の場を大きく変えてきたことは歴史に見る通りです。京都大学に入学した優秀な人材がこの方面でも活躍してくれること願っています。確かに、現在は、変革の時代であり、研修制度による混乱もあと数年は続くでしょう。京都大学はこの中にあって、ここに集うひと達にキャリアの道のりを示せるような整備を進めていきたいと思っています。
 最後に、芝蘭会同窓の皆様にお願いをして、稿を終えたいと思います。お願いは、学生の厚生施設の件です。医学部がその学年の関係上、課外活動を独自に展開していることは、ご存知の通りですが、その活動の本拠としているボックスは、旧医化学・薬理学講堂の裏手にある学生集会所です。古い卒業生の方々は、ここが学生食堂として使われていたのを思い出されることでしょう。懐かしい建物ではありますが、築65年を経過し、いまや、壁が剥離していたり、階段の踏み板が抜けたりしている状況です。衛生上も、また、地震などの災害対策上も決して好ましいことでなく、建て替えを考えています。また、建て替えにあたっては、資金が十分に集まれば、現今のe-learningに対応した学生の自習室を同一棟に整備したいと考えています。情けないことに、現在医学部では自習室が古くまた少なく、多くの学生が川向こうの府立医科大学の新しくなった図書館を使用している状況です。この状況の改善のためにも、是非、新しい学生のための施設を新設したく、芝蘭会同窓の皆様にご協力をお願いする次第です。



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