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2005/04
本庶佑前芝蘭会会長退官される
退任のご挨拶 |
免疫ゲノム医学講座 特任教授 本庶 佑
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毎年この時期に、京都大学を定年退職された先生が、ご自分の在任中の研究や教育などにまつわる様々な想いを寄稿されたのを拝読して来ました。今年は私の番となりました。京都大学に21年に渡って在籍させていただき、文字どおり研究に没頭すると同時に京都大学医学部と芝蘭会の発展の為に微力ながら全力を注いできたという充実感がございます。しかし、幸いなことに自分はまだ京都大学の一員としてキャンパスの片隅で研究を続けさせていただけるという安心感というか、得も言われぬ一体感のために、3月31日でもって深い感慨を持って京都大学医学部教授を辞めたという実感が湧きません。ひょっとすれば、1年位立てばそのようなことを実感することになるのかもしれません。
医学部教授会の先生方の御配慮により、独立行政法人化後の大学に任せられた自由度を活用して、定年後の教官を寄附講座に任用することが可能となる規則が京都大学に導入されました。光栄なことに、私がその第1号となることができました。その結果、私は平成17年4月1日から寄附講座「免疫ゲノム医学」の5年任期の特任教授として医学部構内で引続き研究を継続しております。ほとんどの研究グループのメンバーが引続き参加してくれたことも私に大きな変化を感じさせない要因でしょう。
一番大きな変化は、日本学術振興会の学術システム研究センター所長として本格的活動が始まり、週2日東京勤務になったことです。このセンターは科研費の審査制度の改革を中心業務としております。すべての研究分野にかかわる制度ですので多くの分野の先生方とお話しする機会に恵まれるのは楽しいことです。この仕事は日本の将来にとって大きな意味を持つと思いますので、精一杯努力したいと思います。
芝蘭会理事長として総計6年余に渡り、芝蘭会の多くの諸先輩方と交流を深めることができました。各地の支部の先生方、理事の先生方の貴重な御意見を賜り、芝蘭会も少しずつ改革され、「会員のための会員による芝蘭会」へと脱皮しつつあるように思います。米田教授にお願いした芝蘭会報の改善も着実に前進しております。100周年事業として先輩諸兄姉からご寄附いただいた素晴らしい芝蘭会館、稲盛ホールと山内ホールは、現役の学生諸君、近辺の芝蘭会の会員はもとより、京都大学の他学部の先生方全てにとって、今やなくてはならない重要な施設となっております。芝蘭会館は芝蘭会の活動拠点として、その立派な地位を内外に示しているのは誠に嬉しいことです。在学生のための少人数教育にも有効に活用され始めました。学生諸君も芝蘭会の諸先輩の温かい御支援を、身に浸みて感じております。私はこれからも京大医学部の片隅で研究しながら、芝蘭会員の1人として後輩の皆様方のために、お役にたてれば幸いと考えております。 |
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